おはこんばんにちは。タイコです。
この記事を見ると、『サマータイムレンダの魅力が分かる。かつ、作品を読む(見る)方法が分かる』ようになります。
サマータイムレンダの周辺情報
サマータイムレンダは、『少年ジャンプ+』で2017年10月下旬〜2021年2月上旬まで連載された作品。累計観覧数は、驚異の1億5000万回再生。再生回数だったとしたら米津玄子さんに匹敵する存在感です。
コミックスは、2018年2月~2021年4月までで、全13巻。「次にくる漫画大賞2018」に受賞。ちなみに、他の作品は、「呪術廻戦」や「五等分の花嫁」などがノミネートしてます。
アニメは2022春から夏で公開。2クールで分けられていて、完結しています(アニメに呼応するオープニングが熱い!)。
作者は、田中 靖規(たなか やすき)先生。和歌山市出身。この出身が結構大切だったりする。というのも、作品の舞台が和歌山市に実在する島、だからです。
物語の舞台を和歌山としたのは、田中がコミカライズを手掛けたゲーム『ガイストクラッシャー』のテレビアニメ版の打ち上げの席で同郷の声優である小西克幸と意気投合し、小西から提案されたことがきっかけ[5]。なお小西は、後の2022年に本作がテレビアニメ化された際、物語の黒幕(中略)を演じている。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/サマータイムレンダ より
サマータイムレンダの「レンダ」は、「連打」とも見えそうですが(あながち間違ってないのかも??)、「レンダリング」からきているようです。作者の田中氏は以下のように触れているようです。
ゲーム用語で「リアルタイムレンダリング」って使うじゃないですか。コンピューターがCGを描写するレンダリングのように、夏の時間を慎平が見ているという意味で名付けました。
引用元:コミスペ!インタビュー記事 より
*これより下に記されている内容は、若干のネタバレを含みます。ご注意ください。
サマータイムレンダの魅力
あらすじは、『幼馴染であった「潮」が他界したのをキッカケに主人公の「慎平」は、故郷に帰省。ただ、その島には異変が起きていたー知らぬ間に「影の病」が魔の手を伸ばしていた。影を見た者は死ぬー』といったもの。
一つ重要なのが、「影」。私達には必ず影があるわけですが、本作は、「その影とオリジナルが存亡をかけて戦っていく物語」といってもいいかもしれないです。影の存在がなければ本作が成り立たないと言っていいぐらい「影の病」は、本作では重要な立ち位置です。
ここからは、私見も多く交えて魅力を紹介していきたいと思います。
- キャラクターの個性とエピソードが徹底している
これは有りがちですが、「この回いる?」と思うアニメがあります。私は、アニメオリジナルというのはアレルギー反応を起こしてしまいます。作者の思いがより反映されにくい感じがするので。ただ、サマータイムレンダは、途中で設定が変わっているのにも関わらず、キャラの個性やエピソードに無駄がない印象です。これがすごい。
田中は物語の結末を構想段階から決め(中略)執筆に臨んだものの、執筆時の勢いを重視し、細部の展開やキャラクターの設定などは執筆途中で変更することもあったという(中略)中盤以降の展開は、後付け設定によるものだと明かしている。線描はペン入れを行わない鉛筆描きで、アシスタントも置かない環境で制作されている。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/サマータイムレンダ
途中で変えると、”あれ?これって言っていること違くない?”とか”このキャラクターならこうしそうなのにどうしてしなかった?”とか起こりやすいと思うのですが、その隙が無いのです。一度で理解するのは難しい部分もあって、”あのシーンか!”とハッとなる部分がありますが。伏線→伏線回収→伏線→・・・の循環がよくまわり、非常に絡み合っています。アニメでは、2クールに分けられていて箸休め回があっても良さそうだけれども、そういうのも無い。途中で設定を変えつつも、人物の心の動きと事件解決の糸口が解かれていく様相が鮮やかに描かれているのは、この作品の魅力だといえそうです。
登場人物を少し紹介すると・・・主人公の慎平は、よく自分の事をフカンして物事を見つめて、冷静さを取り戻す事がある。作中では、カタカナで「フカン」と表現されている部分があるわけだが、「俯瞰」というのは、いわば「鳥の目」の事で、『上空より全体を見渡す』ような意味合いを持っている。漢字に目というのが入っているのはそのため。全体を通して慎平は、フカンを駆使して物語を進めていっている。
そして、私が一番好きなのは、最終ボス。ここ最近のアニメでは、例えば、ベジータとかピッコロみたいに中途半端な悪がよく出てくるように思います。要するに、人間らしさが入ってきているみたいな、同情の余地がありまくりのキャラです(それがいい味を出している時ももちろんあるのですが)。初期当時のフリーザみたいな極悪非道で欲望に満ちた完全悪という存在を、ここ最近のアニメで目にする事が少なくなった。でも、この作品の最終ボスは、まさに完全悪といっていい存在です。清々しいぐらいの悪。
私は、隙があるような悪は中途半端で倒し甲斐が無いように思います。こういった巨大な壁が立ちはだかり、早々に倒せないからこそ、胸が熱くなるような作品になり得るのだと思います。完全悪の存在を徹底している点は、この作品の魅力だと思う。
- 恋愛模様とセクシーさ
ジャンプといえば、少年漫画という事もあって、大なり小なり恋愛シーンやセクシーシーンが出てくる作品がある。サマータイムレンダはミステリーものでありながら、なかなか想いが届かない恋とか甘酸っぱいムードも展開されている。そして、恋だけでなくセクシーシーンもある。例えば、主人公の幼なじみである「潮」は、基本的に水着で登場する(これにも意味があるのだが)し、その妹のシャワーシーンがあったり。ミステリーの中にセクシーシーンを組み合わせてくるのは非常に魅力的だ。
謎解き要素が多い物語は、どうしてもその性質上、読者が置いてけぼりになりやすい。本作も同様に一度見ただけではなかなか理解し難い部分があるように思える。ミステリー✖︎恋&セクシーで、頭と感情のバランスが上手く取れるように思える。
- 「影の病」を作品に落とし込んでいる
前述で作者の出身に触れましたが、本作の舞台となるのが和歌山市の島。何と作り物の島ではなく、実際にある島です。日都ヶ島(ひとがしま)と言います。
エンディングには、島が不気味な雰囲気で撮られており、いい味出してます。風土病がアニメの話では無いかのような錯覚を起こす・・・影の病が実際に現実にあるかのような工夫なのでしょうか。
これは演出ではありますが、ノンフィクションだとは決して言えない部分があります。というのもいくつか理由があります。
実は、江戸時代には、「影の病い」といわれたものがあったようで、それは、『人間の魂が体を離れてあてもなく彷徨い歩く事』とされていました。『離魂病』いう別名もあります。言い換えれば、『肉体と魂が離れて姿形も同じなのに、全く別の人物がもう一人いる』という事ともいえます。
そうそう。なんだかんだ言ってもマイノリティな人達はまだまだ生きにくい世の中。現実的な目線にとらわれずに生きる事が「しょうもない」なのか…デンジが素直だからこそ、思いも寄らない展開が面白いし、些細なセリフからもハッとさせられる。魅力が詰まった作品だと思う。
そうですね。影はシャドウともいわれるわけですが、その存在を様々な書物で、繰り返し繰り返し明記し続けた心理学者は、C.G.Jungです。人の内面の深いところは、森だったり、海だったりが象徴として挙げられます。その内面の世界に入るための第一歩は、水面に映る自分の姿であり、これが、「影」といわれている。
影の病とは自分自身の姿を見ることであり、それは自分の魂の抜け出したものであると解釈するのである。自分の姿を見ると死ぬという言伝えはわが国だけではなく、ドイツにおいてもそのように言われているという。
引用元:河合隼雄氏 影の現象学 より
作品でいえば、「ジキルとハイド」も影をよく表しています。表の人格が善良で「いい人」なのに、その人の影は残酷で道徳に著しく欠けている「欲望に正直な人」といった感じです。
他に、(これは根拠としては薄いかもしれませんが)私自身、「同じ人間がこの世界に3人いて、会ったら死ぬ。だからドッペルゲンガーは避けないといけない(会わないようになっている?)」という風の噂を小さい頃聞いた事がありました。その文化によって違うかもしれませんが、影法師というワードもありますね。
影の存在を迷信とするのかどうかは上記の内容を見たらよく分かると思います。つまり、サマータイムレンダの「影の病」は、この作品通りの表現にならないにせよ、絵空事とは言い切れないわけです。他の要素も絡めながら影という存在をここまで全面に出して作品に落とし込んでいるのは、この作品の最大の魅力だといえるでしょう。
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まとめ
いかがだったでしょうか。この記事を書いてみてもやはり、『サマータイムレンダは、見応えのある作品』だと思います。
今日はここまでにします。ここまで読んでいただいてありがとうございました!!!!